洋上風力発電とは
洋上風力発電とは、海上に風力発電設備を設置し、風の力を利用して電力を生み出す再生可能エネルギーの一つです。
海上は陸上と比べ風が強く安定しており、高い発電効率が見込まれています。
人口密集地から離れた海上に風車設備を設置するため、騒音や景観への影響を抑えることができます。
再生可能エネルギーの中でも、安定的かつ大量にクリーンなエネルギーを供給できる点が大きな特長であり、とりわけ国土が限られる日本において、広大な海域を活用できる洋上風力発電は有望な発電手段として注目されています。
どのような場所に洋上風車が建設されるのか?
現在、洋上風力発電のプロジェクトの多くは、秋田県をはじめとする東北エリアかつ日本海側に集中しています。
これらの地域は風況が良好で安定しており、洋上風力発電に適した条件を備えています。
洋上風車設備には、水深に応じて主に2種類の設置方法があります。
1. 着床式(ジャケット型、モノパイル型など)
着床式は、風車基礎を海底に固定する設置方式です。
比較的浅い海域(おおよそ水深50m程度)に適しており、陸上風車の技術を応用したシンプルな構造が特徴です。
維持管理が容易で、コスト面でも比較的優れており、世界的に多く導入されています。
特徴: 浅海域に適し、構造がシンプルで技術が確立されている。コストが抑えやすい。
2. 浮体式
浮体式は、風車設備を海上に浮かせ、ロープで海底と係留させる設置方式です。
より深い海域にも対応できるため、設置場所の自由度が高く、広範囲にわたる大規模な発電施設の実現が可能です。
特徴: 深海域にも設置可能で、地質条件に左右されにくい。設置場所の選択肢が広がる。

CTVとは(作業員輸送船)
CTV(Crew Transfer Vessel)とは、洋上風力発電設備に従事する作業員を、陸上から安全かつ効率的に輸送するための専用船です。
沖合に設置された風車設備への定期点検・メンテナンスのため、作業員を運ぶ重要な役割を担います。
CTVの主な特徴は以下の通りです。

1.安定性と耐波性
双胴船(二つの船体を持つ構造)により、波の影響を受けにくく、洋上での作業時の安定性を確保します。
2.接岸機能(フェンダーシステム)
CTVの船首に設置されたフェンダーにより、風車設備に安全かつ安定的に接岸し、作業員の乗降をサポートします。
3.高速性
最高速度20~30ノット(約37~56km/h)の高速航行できる設計となっています。港から風車設備への移動時間を短縮することで作業員の負担を軽減、作業効率と安全性を向上します。
4.作業員輸送と安全性
1航行で12~24名程度の作業員が輸送可能です。
サスペンション付きシートは高速航行中の衝撃を緩和し、万が一のトラブルに備えて救命設備、安全装備を完備しています。
5.機動性と操作性
双胴船の船体それぞれに搭載されたプロペラを個別に操作することができ、舵と一つのプロペラのみで操船する一軸船よりも高い操縦性を実現します。